1) 電子ピアノとアコースティックピアノ(本物のピアノ)、どちらがよいでしょうか?

電子ピアノの性能も上がり、ピアノの代わりに電子ピアノを買われるケースが増えていると思います。それと同時に、ピアノの練習に電子ピアノで問題ないかということをよく聞かれるようになりました。

このご質問にお答えする前に、ピアノの音を出す構造についてお知らせしておきましょう。ピアノは、鍵盤を押した力で先端にフェルトのついた木製のハンマー(バチのようなもの)をテコの原理で動かして弦をたたくことによって音を出します。鍵盤を強く弾くと大きな音がし、弱く弾くと小さな音がでるのはこの構造によるものです。強くと言っても、鍵盤を強く押さえこむように弾いたり、瞬時に叩くように弾くなど表現手法はさまざま。弱く弾くときも同じく、さまざまな表現手法があります。

このハンマーで弦を叩いて出された音を擬似的に再現したのが電子ピアノで、2000年ごろから簡単な擬似ハンマーが装備された精度のよいタッチセンサーつきの製品が手ごろな価格で販売されるようになったと記憶しています。今では、本物に近いハンマーを装備して、タッチを極限までアコースティックのピアノに似せたものまでも発売されるようになりました。

しかし、電子ピアノはあくまでも電子的に音を再現しているにすぎません。なぜ前述のように本物に近いハンマーを内臓した製品が発売されるのかを考えれば、メーカーも電子ピアノの限界を感じていることが分かります。

では、電子ピアノはいけないのかと考えると、目的によっては十分と言えるでしょう。たとえば、小さなお子様がピアノを習う場合などは、鍵盤を抑えるだけで精一杯ですから、軽めに調整された電子ピアノのほうがスムーズに弾けるようになるでしょう。センサーの技術も向上していますから、音の表現についてはある程度は再現してくれます。

電子とアコースティックの違いによる表現の違いが気になるのは、何年も習い、本格的に技術を向上させたいタイミングになってからでしょう。あくまでも確率論ですが、100人の方がピアノを始めたとして、本格的にその方向に進む人はせいぜい10名ほどでしたので、始めはお手軽なもので始められるほうがむしろよいのではないでしょうか。

ただし、電子ピアノといっても、店頭にならんでいる鍵盤のついた楽器であれば何でもOKというわけではありません。最低でも、タッチセンサーの付いているものを選び、強く弾いても弱く弾いても同じ音量しか出ないものは避けましょう。また、タッチセンサー付きのものでも、極端に鍵盤の軽いものや、明らかにタッチが違うものはできれば避けるようにしましょう。

最後にひとつだけご注意。電子ピアノは心臓部分が電子部品ですので、一度壊れたらメーカーが修理用の部品を備えていない限り修理できないと言われています。アコースティックのほうは、よっぽどのことがない限り音が出なくなるようなことはおきません。ただし、よい状態を保つには定期的な調律、調整が必要となることは知っておいてください。




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